病理とデジタル

病理診断とよく対比してもちいられるものに、画像診断があります。レントゲン、CT、MRIなどで画像を撮影して、評価・診断するものです。

 

画像診断は、その昔フィルムをシャウカステンという光源のついたものに固定して見ていましたが、現在ではモニタで診断するのが当たり前になっています。

 

つまり、デジタル化に成功したわけです。

 

デジタル化できるということは、フィルムを保管する必要がなくなり、前回のものと比較しやすくなり(画面上で並べて見れる、前回のものを取り出すのが容易などなど)、画像処理を用いて反転色でみたり、二つの画像の足し算、引き算ができるようになります。

 

病理画像はできないのでしょうか?

 

プレパラート全体を画像として保管する方法はすでに確立しています。バーチャルスライドと呼ばれています。複数のものを並べて比較するのも、大まかなことはできます。ただし、一度ガラスの上に組織を薄く切り(薄切し)、染色してから取り込むしかありません。アナログなものを作ってからデジタルにするわけです。

 

画像処理して見やすくするというのは難しいみたいです。

 

X線、CT、MRIと違って、病理画像(主にはHE染色)はカラーであるということ、標本作製過程で同じ位置・同じ角度で組織片を置くことが困難なこと、標本の形・色が変化していくこと、などがその原因だと思います。

 

同じ位置に同じ角度で組織片を置くことができれば、もしくは同じ位置に補正できれば、仮想の2重免疫染色とかできるのになぁ。

 

ちなみに、同じ標本を通常の透過光での写真と蛍光あるいは偏光での写真を重ね合わせることや、特殊染色のコントラストの悪い色調を黒あるいは紺色と黄色に補正してしまうことは、画像ソフトで簡単にできますよ。