松果体部腫瘍 Pineal parenchymal tumor with intermediated differentiation (PPTID)
久しぶりにアップします。
人生で初めての人やモノ、状況に出会うのは新鮮かつ印象的で、また不安なこともあります。病理診断においても同じです。
今回はなかなか診ることの少ないものを呈示してみたいと思います。まともに病理組織像をこのブログに挙げるのは初めてですね。
今回提示するのは頭蓋内の病変で松果体部に発生した腫瘍です。
松果体部実質腫瘍には3種類あります。
1.松果体細胞腫 pineocytoma, WHO grade I
2.中間型松果体実質腫瘍 pineal parenchymal tumor with intermediate differentiation (PPTID), WHO grade II or III
3.松果体芽腫 pineoblastoma, WHO grade IV
2.中間型松果体実質腫瘍(PPTID)は松果体細胞腫と松果体芽腫の中間に位置する病理像を呈します。成人に発生し、小児は稀で、性差はないとされています。
組織像としては、びまん性あるいは分葉状に小型~中型の腫瘍細胞が増殖します。核は類円形でほぼ均一であるとされますが、神経節細胞や多核の巨細胞が出現することがあり、細胞間の線維性気質はpineocytomaに比べると少ないとされます。
WHO grade IIとgrade IIIを分ける明確な基準は定まっていないが、核分裂像やKi-67 labeling indexが参考になると言われています。
症例:70代、男性
松果体部腫瘍 Pineal parenchymal tumor with intermediated differentiation (PPTID)
繊細な血管間質を伴って境界の不明瞭な淡明~好酸性胞体を有する細胞が増生し、一
部で多形性を呈する細胞も散見されます。分裂像も5個/10HPF程度認められます。
免疫染色では、Synaptophysin(+), Chromogranin A(-), Ki-67 labeling indexは10-15%程度です。