病理診断

「一人病理医」に光明。「PathPort どこでも病理ラボ」

だいぶん間が空いてしまいました、お久しぶりです。「一人病理医」のpatholtanです。以前からお話ししている「一人病理医」に一筋の光明が差し込んだ、というお話しです。 「一人病理医」とは病院に勤務する常勤病理医が一人しかいない状態によく用いられる…

手術材料の病理診断

手術で採取された臓器はホルマリンで固定された状態で病理診断科に提出されます。それをどのようにして診断していくのか、順を追ってみていきましょう。 ①病理に提出されるとまず、「受付」という業務が発生します。この材料が誰のもので、何の臓器かを病理…

松果体部腫瘍 Pineal parenchymal tumor with intermediated differentiation (PPTID)

久しぶりにアップします。 人生で初めての人やモノ、状況に出会うのは新鮮かつ印象的で、また不安なこともあります。病理診断においても同じです。 今回はなかなか診ることの少ないものを呈示してみたいと思います。まともに病理組織像をこのブログに挙げる…

病理も診断モダリティの一つにすぎないのです。

このことは、昔から思っていたし、一緒に勉強した研修医や若い病理医にも伝えてきました。このブログでも少し前に臨床診断、画像診断、病理診断、血液検査についてお話ししましたが、まさに上記のことを述べています。 最近、Rad Funという雑誌を目にしまし…

僕のいう青とあなたの見ている青

こんにちは。 いままでお話ししたように、病理医は肉眼や顕微鏡を駆使して、病理診断を下しています。病理診断では、どの分類に入れるか、どのぐらい進行しているか、癌細胞はどんな特徴があってどのような治療をすべきかなどを評価し、病理診断書に記載して…

病理ブログ、病理サイト

病理医によるブログですが、病理診断自体のことをあまり書いていませんねぇ。病理医や病理診断の周辺のことについては書いていますが、、、 というのは、すでにいろいろなブログやサイトがあるからです。 例えば、かの有名なDr.ヤンデルのブログ http://drya…

コンサルテーション

内科はさらに肝臓科、腎臓内科みたいに細分化され、外科も乳腺外科、消化器外科のように臓器別に細かく分かれています。それ以外にも泌尿器科、皮膚科のように特定の臓器を相手に診療しています。 病理はどうでしょうか? 基本、勤務医としてはその施設で提…

病理医の視点 ~顕微鏡でみるということ~

病理医は顕微鏡をつかって診ているというお話をしました。ここでいう顕微鏡とは一般に生物顕微鏡などと呼ばれるもので、下から光を当てて透過してみています。この顕微鏡でみるということは、検体を薄く切る必要があり、色を付ける必要があるのです。前者を…

扁平上皮=難しい

扁平上皮の診断、異型(=正常からどのくらいかけ離れているか)の評価が、殊に難しいんです。 皮膚、口腔、食道、子宮頸部、肺などなど、いろんな臓器の扁平上皮に悩まされます。 また、臓器によっても評価の仕方が若干変わってきます。ただ変わらないのは…

小さい材料(生検)=むずかしい

ブログのカテゴリーというのを参考にしている人はいるでしょうか? 自分の場合、「つぶやき・ぼやき」が多くなってしまいます。 全部が「つぶやき・ぼやき」なら、そのカテゴリーは必要ないですよね。 病理診断に用いる組織には、診断を決める過程でとられる…

病理とデジタル

病理診断とよく対比してもちいられるものに、画像診断があります。レントゲン、CT、MRIなどで画像を撮影して、評価・診断するものです。 画像診断は、その昔フィルムをシャウカステンという光源のついたものに固定して見ていましたが、現在ではモニタで診断…

病理診断書

病理診断書は一般的に2つのパートから成り立っています。 「診断部」と「所見部」です。 例えば、、、 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- Tubular adenoma, Group …

比喩

病理の肉眼所見、顕微鏡所見(組織学的所見)では、いろんなものに例えて表現することが多いのが特徴の一つです。教科書にも「ナツメグ様」とか「ちりめん状」、「花むしろ状」なんて記載があります。 でも、例えた先のナツメグ、ちりめん、花むしろがわかっ…

料理部

会食の席をおさえるため、電話で予約することはたびたびあると思います。予約の名前を聞かれたときに施設・所属で伝えると、時々聞き取り間違いをされます。 「〇〇病院・病理部」→「〇〇病院・料理部」といった具合に。 脳科学という分野が脚光を浴び、有名…

はぐれメタル

ドラクエをしていてはぐれメタルに出会うと、経験値がたくさんもらえるので嬉しいだろう。 骨董屋が珍しい壺をみたら喜ぶだろう。手放したくなくなるかもしれない。 切手の収集を趣味にする者にとって「見返り美人」「月に雁」をみかけたら、欲しがるだろう…

術中迅速診断 2

昨日お話ししたように、術中迅速診断は凍結して作製した標本で診断しています。 したがって、凍結しにくいものや硬いものはきれいな標本になりにくいのです。 凍結しにくいものの例としては脂肪組織が挙げられます。乳癌の手術ではリンパ節が術中迅速として…

術中迅速診断

「術中迅速診断」とは治療方針の決定のために手術中に行う検査です。したがって、内視鏡で採取された材料などは普通、対象となりません。病院に常勤病理医がいるという利点の一つは、術中迅速診断の対応がすぐにできるということが挙げられます。下記の適応…

骨董屋さん

勝手な理解ですが、骨董屋さんのお仕事は、①真贋を見極め、②適切な価値を見出し、③自分にも儲かるだけの値段をつけて売買することだと思っています。 病理診断も①正常か病変かあるいは良性か悪性かを見極め、②適切な診断をする(質的な価値を見出すってこと…

ぼやっき~

本日のお仕事もほぼ終了です。 「一人病理医」とは、病院に常勤の病理医が一人しかいない状態を指しています。 気楽でいいね!って言う人もいますが、病理診断を一人でするということは、その病院のすべての科の病理診断を一人で担うことになり、相談するこ…