写真は自分の見たいところを撮っておくもの。

こんにちは、patholtanです。

 

写真を撮影すると、どうしても撮影者の意識というか私意・恣意が入ってしまいます。ここを見せたい、自分にはこう見えるけどそうでしょ?って感じに。

 

本来、写真とはそういうものでいいと思います。ある風景から自分の思いのままに一部を切り取るわけですから。病理では問題となることがあります。

 

患者さんが紹介されて、前の病院で作製された病理組織標本をもって来院されることがあります。他院標本あるいは借用標本です。こちらでも評価・診断を行って標本は前の病院に返却されます。この場合、組織標本が手元に残らないので、写真を撮って組織像を保存するのですが、自分の都合の良い部分だけ写真を撮ってしまう可能性があります。

 

全体を残す、これがwhole slide image (WSI)と呼ばれているもので、バーチャルスライドのシステムを導入することでこれが可能となります。(いろんな会社から出ていますが、何かトラブルがあった時にレスポンスが早い会社がやはりいいですね。ラインセンサー方式とタイリング方式の大きく2通りの撮影方法があります。詳しくは各メーカーのホームページなどをみてください。(ライカ(Aperio)、浜松ホトニクスオリンパスニコン、ロシュ、フィリップス、クラーロ→パスイメージング(株)など)

 

これにより、後からもう一度全体をreviewすることが可能となります。証拠が残るわけです。

 

恣意的な写真だけなく組織標本全体を劣化のないデジタル画像として残すことができ、なおかつそこから画像を切り出すこともできるのです。